明代の図像資料

外国のしかも過去の文献資料を理解するために、図像資料が大きな力を発揮することは言をまちません。中国明清時代に刊行された戯曲小説などの版本には、しばしば挿絵が付され、作品理解の助けとなってます。これらの挿絵を使って、かつて日本で作成された『絵巻物による日本常民生活絵引』のようなものが作れないものか。これは筆者の長年の念願でありました。
近年、コンピューターによる画像処理の技術が進み、こうした作業が比較的容易にできるようになりました。多々ある挿絵資料を整理し、絵引を作成する作業を開始するにあたり、その基礎となる恰好の資料が存在します。明末の時代に王圻が編纂した『三才図会』一百六巻です。ここに『三才図会』データベースを提供する次第です。底本には、東京大学東洋文化研究所蔵、清刊本(槐蔭草堂藏板)を使用しました。
本データベースでは、『三才図会』に収録された物の名によって、図像及びその図の解説の文章を検索することができます。また『三才図会』は「宮室」「草木」などのテーマ別に編纂されているので、各巻ごと(内容ごと)の検索も可能です。
この『三才図会』基礎データベースに、さまざまな戯曲小説の挿絵(に見える物名)と関連する場面の文字テキストとをリンクさせてゆくことによって、データベースをさらに充実させてゆきたいと思っています。

(データベースの作成にあたっては、東京大学大学院人文社会系研究科大学院生、荒木達雄・上原究一の諸君の協力を得た。)

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